岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。
月報のはずが、6月は失念しておりました。失礼いたしました。
“養育費”はとても大事なものです。
ただ、このところ、この“養育費”が、おかしな理由で、きちんと支払われていない事件に会うことが何度かあったため、注意喚起のため、養育費についてお伝えします。
まず、“養育費”とは何でしょう?夫婦が離婚するときに、離婚の原因を作った側が、慰謝料として、子どもを育てる側に毎月支払うお金でしょうか?
そうではありません。離婚の原因を作った側が支払うとは限りません。慰謝料や迷惑料として支払うわけではありません。離婚のために支払うものでもありません。子どもの健全な成長のため、子どもの親として支払うお金です。離婚したからといって、子どもがあなたの子どもであることに変わりありません。子どもにとって「お父さん」、「お母さん」は変わりません。
夫婦は婚姻中、相互に生活保持義務を負っています。旦那さんと奥さんは、それぞれ、その資産・収入・社会的地位などに応じて共同生活を営む上で必要な費用について、互いに分担することが求められます。夫婦間の分担、生活保持義務は、離婚することでなくなります。ただ、お父さんとお母さんが分かれても、子どもには関係ありません。子どもにとって「お父さんはお父さん」「お母さんはお母さん」です。お父さんと子ども、お母さんと子どもの家族関係はなくなりません。互いの費用分担義務、生活保持義務は残ります。それが、「養育費」です。
ただ、離婚すると、一般にお父さんとお母さんは別々に暮らすことになります。そして、法律上もお父さんかお母さんか一方を子どもの親権者と定めることとされています。
親権者とならなかった親も子どもと家族であることに変わりはないのですが、共同生活の実態が、面会交流のときだけになってしまうなど、薄れてしまうからか、親権者とならなかった親は、親権者とならなかったということで子どもの健全な成長に関与することに関心を示さなくなることがあります。
この問題に対して、法務省では、離婚後も父母双方を親権者とできるようにすることが検討されているようです。「親権を持たない親の親としての責任感が薄くなってしまうから・・・」という問題意識があるようですが、これまで記載したように親権がなくても、「子どもの親」「子どもと家族」であることに変わりありません。“共同親権”が認められる社会になったとしても、共同親権とならなかった親が「うちは共同親権じゃないから、自分は親として子どもとかかわらなくていいんだ!」みたいなおかしな誤解が生じないといいなと思います。
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