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慎也 齋藤

ひまわり月報5月 契約書ってなんだろう?

 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 会社と雇用契約を締結したけれど、「契約書がない!」という相談を受けました。岩内に来てから、雇用契約とか家の売買契約とか、大きな契約なのに契約書を作ってないという場面にあうことが何回かありました。ただ、誤解してほしくないのは、大きな契約のときは契約書を作ることが通常ですが、契約の成立のために契約書が必要なわけではないことです。

契約書についての相談の多くは、「契約書がないんだから契約は成立していないんじゃない?」というものでした。答えは簡単で、契約するのに契約書は必要ありません。契約書がなくても契約は成立します。

 生きていると、お役所とか「色々書類を出さないと認めてくれない!」ということが多くあります。ただ、人と契約をすることは、法律上、そんな特別なことではありません。「ください!」「いいよ!」と約束するだけで契約は成立します。コンビニでジュースを買うことをイメージしてください。「これ、ください!」「いいよ!」だけで売買契約は成立します(正確には、商品を手に取って、レジで「これ、ください!」の時点で成立します。)。法律上、ジュースだろうが家だろうが売買契約の成立に必要なことは変わらないので、家を買うのであっても「これ、ください!」「いいよ!」だけで成立することに変わりはありません。

 では、どうして人は、契約書を作るのでしょう?これは、契約の内容を証拠として残しておくためです。ジュースを買うだけなら「これ、ください!」「いいよ!」だけで、いつ買ったのか、いくらだったか忘れてしまってもあまり問題になりません。ただ、家を買うときは、いつ買ったのか、いくらだったか、家に壊れているところがあったらどちらが直すのかなどなど、後で確認しなければならないことがたくさんあります。以上のような理由から、ジュースを買うときに契約書はあまり作成されませんが、家を買うときには契約書を作成することが通常です。

 つまり、契約書は、裁判など争いになる可能性に備えて作成するのです。家族の中だったら、コンビニでジュースを買うような小さな契約でなくても、家を買うような大きな契約でも契約書は必要ないかも知れません。みんなと契約書なしで家を買ったり売ったりできるようなフレンドリーな社会になっていくといいですね。むしろ、家族の間でも契約書がないと心配になってしまうような社会になってきているような気もしますが・・・。

 これからは、是非、契約をするとき、どうして契約書を作成するのか、又、どうして作成しないのか意識するようにしてください。又、その契約の内容は、ちゃんと自分に有利な内容になっているか、納得できる内容なのかも意識するようにしてください。自分で判断できないときには、ご相談ください。

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