ひまわり月報3月 共同親権ってなんだろう?
- 慎也 齋藤
- 2024年2月9日
- 読了時間: 3分
岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。
世界的に離婚が増えています。日本でも、離婚するのは、私が生まれたころ(40年くらい前)は、結婚した5組に1組くらいでしたが、今では3組に1組は離婚するという状況です。
離婚が増える中で、離婚した後は、「子どもとはもう会わない」「養育費も払わない」という親が多いことが問題とされています。子どもの権利を守るために法律を変えるべきではないかとして、「共同親権」という制度を導入することが検討されています。
「共同親権」とは何なのか、「共同親権」となることで、子どもたちの利益が守られるようになるのか、検討していきます。
第1 共同親権という制度
法律上、お父さんとお母さんが離婚したとしても、二人とも子どものお父さんとお母
さんであることに変わりはありません。ただ、離婚したときには、「一方を親権者と定
める」とされてきました。それで、親権者とされなかった親が、「自分と子どもとはも
う関係がない!」と思い、子どもの養育にかかわらなくなる恐れがあると考えられたよ
うです。
共同親権となると、お父さんとお母さんが離婚したとしても、二人とも子どもに対す
る親権を失うことはなくなります。ただ、このことには問題もあります。
第2 共同親権となることの影響
「共同親権」とすべきと考える人たちは、離婚してもお父さんとお母さんの両方に、
子どもを育てる責任があることが明らかになるから、「子どもとはもう会わない」と
か、「養育費も払わない」とか、勝手なことをいう親がいなくなるとしています。
ただ、親権者は、子どものために共同して親権を行使することが求められるので、子
どもの進路とか、子どもにとって重要なことを決めるとき、離婚した後も、お父さんと
お母さんは、共同の親権者として話し合うことが必要になると考えられます。離婚した
お父さんとお母さんが、ちゃんと子どものために話し合うことができるでしょうか。
第3 まとめ
「共同親権」が認められても、これまでどおりの「単独親権」もなくなりはしないよ
うです。裁判所は、子どもの利益から、一方の親がDVをしているなど子どもの心身に
悪影響があるような場合には、他方の親だけの単独親権とするそうです。
事務所でも家族に関する相談は多いです。社会に合わせて法律を変えていくことが必
要でしょう。この改正も、お父さんとお母さんが離婚するというとき、お父さんとお母
さんの気持ちだけが優先され、子どもが蚊帳の外に置かれていることに対処するため、
子どもの利益のための改正です。
この「子どもの利益」を第一として、共同親権とするか、単独親権とするか、ちゃん
と判断されているのか、これから意識してみていきましょう。
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