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慎也 齋藤

ひまわり月報12月 破産てなんだろう?(その2)

 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 “破産て何だろう?”のその2として、元々平等にお金を返してもらうための制度だった『破産』に、『免責』という制度が昭和27年に加えられたことにより、どう変わっていったか説明します。

 “その1”で説明したとおり、破産手続は、そもそも債権者が自分の権利を確保するために利用する制度でした。破産手続開始時の債務者財産を債権者間で公平に分配するための制度です。債務者が会社の場合には、破産手続開始は会社の解散事由なので、会社の法人格は消滅し、借金も消滅します。それに対して、債務者が自然人(会社でない普通の人)の場合には、破産手続が終了しても、その財産で返せなかった分の借金は、そのまま残ることが基本です。ただ、破産した人にとって、借金がそのまま残ることは、破産法の趣旨であるところの“経済的再生”の妨げになります。なので、破産手続に誠実に取り組んで、債権者に自分の財産からできる限り返済した債務者については、責任を免除することにしようと定められたのが、『免責』という制度です。

 そのため、債務者が、金融機関に対してはお金を返さないのに、友達には返すという債権者間の公平に反する行為をしたような場合には、破産手続に誠実に取り組んだと認められず『免責』されないことがあります。また、収入に不釣り合いな買物をした場合も、生活における不誠実性の典型例として『免責』が認められない場合があります。

 以上のとおり、破産が認められたとしても、必ず『免責』が認められるわけではありません。『免責』は、誠実な債務者に対する特典であるという考え方と、誠実な債務者の経済的再生のための手段であるという考え方がありますが、どちらにしてもお金を借りている人は、お金を貸してくれた人のために、誠実な態度で、破産手続に真摯に取り組むことが『免責』の前提となります。

 『免責』は、破産手続に誠実に取り組んだ破産者に対してだけされるもののため、「『破産をする』とは借金を返さなくてよくなることである」とか、「『破産をする』ことは、借金をしている人の権利である」と考えている方がおられますが、それは間違いです。法律上、「お金がなければ『破産』によりお金を返さなくてよくなる」などという定めはありません。『破産』という手続に誠実に、真剣に取り組んだと認められたとき、はじめて、『免責』として「それ以上借金を返さなくてもいいですよ」と認められるだけです。法律は、「人の権利を守る」「人の権利を実現する」ということを目的としているので、「そう甘いものではない」ということは意識した上で、借金のご相談にお越しください。お金を貸した人が、あなたに対して権利を持っていることも確かですので。

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