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慎也 齋藤

ひまわり月報1月 裁判する?しない?

 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 弁護士という仕事をしておりますが、「裁判しましょう!」という結論になることは、そう多くありません。

 法律には、この社会に生きる皆さんの権利が多く定められています。ただ、「あなたの権利はこれです!」とはっきりは書かれていません。具体的には、裁判所で確認してもらわなければなりません。法律に定められた権利を、あなたが行使できるかどうか、裁判所で判断してもらわなければなりません。

 裁判所での裁判官による判断は、様々な事情を比較検討してされるものです。日本の裁判が、地裁⇒高裁⇒最高裁と、3回判断される可能性を認めているとおり、判断する裁判官や、判断される時機によって違う結論がでることもあります。そのため、私は、悩んでいる人の話を聞いて、「これは、行けそうだな!」と思っても、「絶対大丈夫です!!」とは、絶対言えません。

 人は、利益よりも損失に大きく反応するそうです。「コインを投げて、表が出たら110万円もらえますが、裏が出たら100万円とられます。」という賭け事に応じる人は、あまりいないそうです(表が出たらもらえる金額が150万円でも、100万円失うリスクに尻込みして、あまりいないそうです。)。そうすると裁判も、上手くいけば裁判に勝って希望したとおりの利益を得ることができますが、場合によっては裁判の費用や時間だけがかかってしまうという面があり、なかなか裁判をしようという気持ちにまではなれないということも理解できます。また、裁判の場合、費用や時間だけではなく、裁判所に行くことはまだ日常的なことではないので、自分の生活が裁判を始めることで変わってしまうのでは?という不安もあるでしょう。

 非日常的なリスクに対しては、保険があります。そして、自動車保険の弁護士特約のように、何かあったときに弁護士への相談や裁判等の費用を肩代わりしてくれる保険もあります。保険の制度などによって、もっと裁判所が日常的なものとなり、気軽に、弁護士や裁判所を利用できる社会になればいいですね。


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