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広瀬通月報

 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 この頃、「生活費が足りなくてお金を借りたのですが、とても返していけません!破産したいのですが・・・」という相談を受けることがあります。ただ、お話をうかがっていると、『破産』、『倒産』という言葉は知っていても、その意味はちゃんと伝わってないのでは?と思うことがあります。そのため、今回は、すこし趣向を変えて、ちょっと専門的な話、『破産とは何か』について説明します。

 破産とは別に『倒産』という言葉があります。社会では似た意味で使われています。ただ、法律の世界では、清算型の手続と再生型の手続というものがあるところ、その両方を合わせて『倒産手続』と言います。清算型の1つとして『破産』があり、再生型の1つとして『民事再生』があります。どちらも債権者(お金を貸している人など)にどのようにお金を返すか決めていく手続という点で共通しています。『破産』は、債務者(お金を借りている人など)のすべての財産を金銭化して弁済する手続です。『民事再生』は、収益を生み出す財産は残し、給料など、将来の経済活動で得られた収益により弁済していく手続です。

 以上のとおり、『倒産』はお金をどう返していくか決めていく手続であり、『破産』もその中の1つで、自分の財産をお金にしてそこから債権者に平等に返していく手続です。借金が返せないとき、その借金をチャラにするためにある手続ではそもそもありません。では、どうして『破産』にそんなイメージがあるのでしょう?昔は、ただお金を貸している人のためのお金を平等に返してもらうための手続だったのですが、昭和27年の法律の改正で、『免責』という手続が導入されたため、“借金をチャラにする制度”というイメージが生じてきたのだと思います。

 この『免責手続』と、それによって破産の法律はどのように変わったのかについて、次回詳しく説明します。

 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 北海道の弁護士会では、北海道の各地域にうかがって、法律相談会をとても積極的に行っております。私は札幌弁護士会の地域司法対策委員会に所属し、その中の岩内班として、真狩村、留寿都村、京極町、喜茂別町、ニセコ町、蘭越町、神恵内村、共和町、泊村を回って法律相談会を行っています。そして、札幌弁護士会には岩内班以外にも、滝川班、ゆうぞら(夕張・南空知)班、室蘭班、苫小牧班、北後志班、三笠班、うなづき班、浦河班と多くの班があり、それぞれ周囲の地域を回ってます。あなたの町でも弁護士による無料の法律相談会が開かれているのではないでしょうか。

 これらの法律相談会では、相談時間が30分と限られてはおりますが、日本司法支援センターと弁護士会の共催で開催されているため、相談に費用はかかりませんし、数名の弁護士が回ってくるので、いろんな弁護士の意見が聞けるというメリットもあります。とてもお得な制度です。

 30分という限られた時間であっても、弁護士はそれぞれ、その事件のポイントを押さえて必要な助言を行います。

 とりあえず、気になることがあればお近くの法律相談会にお越しください。いろんな弁護士があなたの悩みに丁度いい法律をご案内いたします。

 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 今、簡単にできることが、後になると難しくなることがあります。

東京にいたころから、又、今でも、相続や高齢の方の財産管理の相談を受けることがよくあります。「もう少し前にご相談いただけば・・・」と思うことがよくあるので、今回はその話をさせていただきます。

一番よく寄せられるのは、「母さんは生きていた時、自分の財産の半分は〇〇さんにあげたいって言っていたんだけど・・・」という亡くなった方の身近にいた人から亡くなった方の思いを告げられるご相談です。

是非、今、この記事を読んでいる人で、同じようにお母さんやお父さんから、「〇〇さんにあげたい」と言われて、「そのようにしてあげたい」と思った人は、直ぐにお父さんお母さんに「それ遺言に書こう」と伝えてください。

お母さんやお父さんが元気なうちであれば、遺言に自分の希望する財産の分け方を書くだけで、自分の思った通りに財産を分けることができます(遺留分とか例外はありますが。)。ただ、自分で財産を管理できない状態になった後や亡くなった後では、いくら生前に「〇〇さんにあげたい」と意思を表明していたとしても、原則として法律に従って財産は相続人に行ってしまいます。

法律と違う分け方をするためには、相続人全員の同意が必要になります。相続人が子ども数人だけならいいのですが、場合によっては子どもの何人かは先に亡くなっており、その子どもの子や孫が出てきます。その子や孫は、亡くなった人に会ったこともない人であったりするところ、その人を亡くなった人の意思に基づいて説得できるでしょうか。行方がよくわかない人が登場することまであります。

私は、お父さんお母さんの意思を実現したい、自分がもらえる分が減るのに「〇〇さんにあげたい」と頑張る人の手助けをしたことが何度かあります。ただ、そのうちのいくつかは、遠くの相続人の理解を得られなかったり、連絡がつかなかったりで、実現できませんでした。

是非、身近な人の意思を実現してあげたいと思ったら、その人が元気なうちに「それ遺言書に書こう」とお伝えください。書き方がわからないときには、私や周りの法律に詳しい人に相談してみてください。基本を押さえればそんなに難しくはありませんので。

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