岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。
この頃、「生活費が足りなくてお金を借りたのですが、とても返していけません!破産したいのですが・・・」という相談を受けることがあります。ただ、お話をうかがっていると、『破産』、『倒産』という言葉は知っていても、その意味はちゃんと伝わってないのでは?と思うことがあります。そのため、今回は、すこし趣向を変えて、ちょっと専門的な話、『破産とは何か』について説明します。
破産とは別に『倒産』という言葉があります。社会では似た意味で使われています。ただ、法律の世界では、清算型の手続と再生型の手続というものがあるところ、その両方を合わせて『倒産手続』と言います。清算型の1つとして『破産』があり、再生型の1つとして『民事再生』があります。どちらも債権者(お金を貸している人など)にどのようにお金を返すか決めていく手続という点で共通しています。『破産』は、債務者(お金を借りている人など)のすべての財産を金銭化して弁済する手続です。『民事再生』は、収益を生み出す財産は残し、給料など、将来の経済活動で得られた収益により弁済していく手続です。
以上のとおり、『倒産』はお金をどう返していくか決めていく手続であり、『破産』もその中の1つで、自分の財産をお金にしてそこから債権者に平等に返していく手続です。借金が返せないとき、その借金をチャラにするためにある手続ではそもそもありません。では、どうして『破産』にそんなイメージがあるのでしょう?昔は、ただお金を貸している人のためのお金を平等に返してもらうための手続だったのですが、昭和27年の法律の改正で、『免責』という手続が導入されたため、“借金をチャラにする制度”というイメージが生じてきたのだと思います。
この『免責手続』と、それによって破産の法律はどのように変わったのかについて、次回詳しく説明します。