top of page

広瀬通月報

 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 「泣き寝入りしかないんですか?」と聞かれることが、たまにあります。私は、法的に権利があるのに、それについて諦める必要はまったくないと思っています。そのため、常日頃どのようなことに気を付けていれば、「泣き寝入り」しないで済むか、解説します。

まず、約束は書面で残しておくことです。あなたにとってどんなに重要な約束でも、相手にとってはそうでもないかも知れません。あなたが、その約束に基づいて、相手に「〇〇してください!」とお願いしても、相手が「覚えてない!」というなら、どうしたらいいでしょう?裁判所に「権利がある」と判断してもらうためには、「私にはこんな権利がある!」と示すための証拠が必要です。この証拠になるのが、書面です。「契約書」などが代表です(なお、書面の題名は重要ではありません。)。「いくら払います」とか「〇〇します」とか書面が残っていれば、裁判所も「あなたにはこんな権利があるんですね!」とよくわかります。

 次に、約束する相手を選ぶことです。「1か月後に100万円返す」という約束をしてもらっても、相手が、日々の食費にも困っているような人で、お金がまったくないのであれば、100万円返してもらうことはできません。裁判所から「100万円払いなさい!」と言ってもらっても無理です。何か約束をする前に、「この人は約束を守れる人かな?」ということは意識して確認してください。

 最後に、頼れる人を見つけておいてください。ここまで「泣き寝入り」しないように、どんなことに気を付けていればよいか説明しましたが、どうしてもトラブルに巻き込まれることはあります。そんなとき、役場の人とか、友達とか、困ったときに相談できる仲間を持っておいてください。事故などに巻き込まれることもあるので、保険も自分を守ることにつながります。「任意保険に入っていないのに、交通事故を起こしてしまった!」とアドバイスが難しい相談をよせられたこともあります。また、どんなことでも気軽に相談できる弁護士などの専門家を、私でなくてもいいので、見つけておけば、日常的に困ったとき、安心できると思います。


 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 この間、事務所に電話してくれた方から「俺が被害者なのになんだ!」と怒られてしまいました。その人は、弁護士に依頼したかったのに、私が「まず、事務所に来てお話を聞かせてください。」とお伝えしたためです。確かに、お腹が減ってパン屋さんに行って「パンをください!」と言えばパンが買えます。オシャレがしたくて服屋さんに行けば服が買えます。ただ、何か難しい問題に直面して弁護士事務所に行っても、相談はできるかも知れませんが、「弁護してください!」と言ってもすぐに「はい。お任せください!」とはなりません。どうしてでしょうか?

 まず、弁護士と、パン屋さんや服屋さんとは、取り扱っているものが異なることが一番大きな理由だと思います。パン屋さんでも、服屋さんでも、扱っているものは、お客さんに提供するために、そこにあるものです。そのものは、もともと、お客さんに提供されることが予定されています。だから、お客さんが「ください!」と言えば売ってもらえます。また、成立する契約も、そのものの売買契約であり、お店にはいろいろな人が来ますが、誰に対しても同じ契約です。これに比べると、保険に入るとか、家を建てるとかいう場合には、商品が何か決まっていなかったり、契約の内容が決まっていなかったりします。弁護士も同じです。依頼のたびに契約を作ります。そこで、まずよく話を聞いて、その上で契約をすることが必要になります。

 また、弁護士の場合、弁護士法に反して契約をすることはできません。契約の前に、名前を聞いたり、事件について聞いたりすることが必要です。

 「弁護士は正義の味方じゃないのか!」と言われることもありますが、この点でも、直接会って、受けられる事件なのか確認することが必要です。「正義」というものは、ひとつではありません。困っている人は、「自分が正義だ!」と思って相談に来てくれるのだと思います。ただ、法的には、その人が正義だとは言い切れないこともあります。そのようなときは、その人から話をよく聞いて、「受けられません。」とお断りすることもあります。

 以上のように、契約をする前に、どういう契約にするか話し合う必要がありますし、受けることができる事件か確認をする必要があるので、事務所に来てもらって、よく話を聞くことが必要です。ちょっと依頼することが難しく感じるかも知れませんが、むしろ話を聞くだけで解決することもありますし、まずはご相談ください。


 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 人が人と生きていくことは本当に大変です。法律事務所によせられる相談は、人が人と生きていく上でのお困りごとですが、身近な人とのトラブルがよく寄せられます。家族内でのお困りごとは特に多いです。ただ、法律の原則は、「法は家庭に入らず」です。

 「法は家庭に入らず」の原則は、そもそもローマ法の格言です。国家は、家長によって構成される共同体に介入することはできないとされていました。「家は最も安全な避難所」として、社会は法が支配しますが、家庭の中は「私的領域」として慣習による自治が約束されていました。日本でも、「家制度」の下、戸主の指揮命令による家庭内での自律的解決が優先されてきました。警察など国家権力も「民事不介入」として、家庭の問題には関与しないというスタンスでした。

 しかし、私的領域であっても、法的手段が必要になることはあります。家族間であっても、暴力による支配は認められません。そのため、近年、家庭内のことであっても、公権力が対応する必要性があるとして、様々な法律が定められてきています。「家庭内暴力」、ファミリー・バイオレンス、高齢者虐待等々への対応です。平成12年に「児童虐待の防止等に関する法律」が、平成13年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が、平成17年に「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が制定されました。

 ただ、このような家庭内の問題に対して法律が介入する状況に対し、反対する立場もあります。本来は、法律による規制に馴染まない「家庭」といった私的領域にまで法律が介入することにより、人々の生活やコミュニケーションが阻害されるとして、ハーバマスというドイツの哲学者は「法による生活世界の植民地化」としています。

 私は、法律は、社会に生きている人が生きやすくなるように、人と人との潤滑油として、社会の変化に応じて変わっていくこと、必要であれば人と人との生活にもっと介入してくるようになることも必要なのではないかと思います。ただ、法律相談で、家族内のことまで「裁判で!」と言われると、まず裁判官と話す前に家族と話し合えないかなと思ってしまいます。ただ、家族の間でも暴力を振るわれるとか、そもそも話し合いがなりたたない状況に対しては、法律があなたを守ってくれるので、ご相談ください。


© 2024 広瀬通中央法律事務所

bottom of page